• 中嶌 尚平

硫黄島と新たな自分


屋久島の北北西40km、九州本土との中間に浮かぶ鹿児島県三島村の硫黄島。

屋久島の成り立ちにも深く関わりがあり、永田からはきれいに見えたり見えなかったり。

興味のあるひとは地図を見ながら、読んでみてください。

”また行こうよ”と時折話してはいたけれど、

一週間ほど前、急に日程が決まり緊張感が高まった。

5年以上前だったか、最初に硫黄島に行こうと言われた時は

”何を馬鹿なことを言ってるんだこいつは”

と思ったものだが、そんな気持ちでその島を眺めていると何となくそんな気持ちも湧いてきて、

”じゃあどうすれば’行けるのか?”

と考えるようになり、練習したり装備を整えたり話し合ったりすることで不安要素をひとつでも取り除く。

そして一年後、期待が不安を上回った頃に漕ぎ出し、

硫黄島を経て、鹿児島の谷山港というところまで120kmを四日間で漕破できた。

このときはフェリーにカヤックを積んでもらい屋久島に戻った。

そしてこの航海。

いままで長い海峡横断はタンデム艇(二人乗り)だったけれど、シングル艇で渡る。

前ブログの単独行はそれ自体意味のあることだったと同時にこの旅のためのトレーニングだった。

全体的には南西の風が吹き続ける予報で、当日までさまざまな予報とにらめっこ。

そんなに見たってしょうがない、予報は所詮予報とわかっていてもまた見てしまう。

出発当日もほんとに行くの?というくらいに白波が立っている。

こんな日に漕ぎ出すのを見る人がいたら心配されたり、”何考えてるんだあいつらは”とかなにかあればやっぱりあんな日に海に出るなんて、と言われてしまうだろう。

一番不安を感じているのは自分だが、絶対だめかどうかはわからないというコンディション。

同時に限界を超えたい、今までの経験を確かめたいという気持ちもあり、引き返す選択肢も持って漕ぎ出すことになった。

西よりの風向きを考慮して、永田から出発。

まずは15kmほど沖合の口の永良部島に渡り、二日目にその風に乗って硫黄島を目指す、という行程。

実際には上陸できる場所まで、25kmほど、およそ五時間のパドリング。

漕ぎ出してからの二時間は写真も撮れないほどの強風。

だれも引き返そうと言い出さなかった。

漕ぐうちに凪てきたが、吹き続けたらだいぶしんどかっただろう。

二日目、永良部島から硫黄島へ。針路は北東。風は南西。

追い風だがあんまり強いうえに、うねりも一時的には2mはあり漕ぎ方は慎重になる。

戻るには強い向かい風になるため、出たらもう行くしかない。

流れはかなり強く東に行っていて北東に取っていた針路がだんだん北寄りになり、果ては北北西くらいになってしまう。

東隣の竹島着を考慮しながらも、結局35kmほど、7時間で目的地に到着。

そして五日間の停滞がはじまった。

日本三大秘湯のひとつとだれが言ったか東温泉三昧。

釣りや磯もん採り。魚突きをかねて島内探検。

漕げそうなときは出艇し沿岸を回った。

なにもない島とひとはいうが、退屈はしなかった。

ダイナミックな地形の火山島。

厳しい環境。

ちょっと風変わりな面もある。

島のひとにはほんとうに親切にしてもらった。

よい出会いもあった。

雨もよく降り、雷で怖い思いもして、蚊にさされて眠れなかったりしたが生きて帰ってきた今となってはいい思い出だ。

南寄りの風が収まらなければ、鹿児島に上がってフェリーで帰ることになるが、そもそも漕ぎ上がれるのか?

漕いで屋久島に帰る。

それが今回の目的だし、お金もかからない。

これは重要だ。

仕方ないので遊びながら風待ちの停滞五日間ののち、予報通り(以上?)の凪ぎになり、40kmの海峡を7時間で渡って、屋久島に帰ってくることができた。

海況も体調もよく、お金もかからなかった。


写真はたくさんあるけど、今回のベストショット 。

いつも刺激を与えてくれるふたり。


と一応証拠写真。後方に硫黄島も写っている。

硫黄島に住むカヤッカーに言われた。

”こんなことを一緒にできる信頼し合える仲間がいてうらやましい”。

頼り合えると同時に、お互いがリスクにもなり得るという状況を理解したこの言葉が印象に残っている。

実際いちばん不安要素を抱えているのは自分だけど、たとえ短い行程であってもどんな経験者であってもなにがあるかわからない。

5日間という停滞を退屈することなくいっしょにいられる仲間を得られたこと。

20年前には考えもしないことを自分ができるようになったこと。

多少の覚悟はしていたけど、いまは生きていること。

新しい目標を持てたこと。

シーカヤックと出会えたこと。

厳しい局面では”限界を超えるには乗り切るしかない”と気持ちを落ち着かせた。

全行程100km余りの短い旅ではあったがひとりで漕ぎきることができた。

メンバーに加えてくれたふたりには感謝しています。

次なる旅に向けて頑張ります。


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